9月21日の中日新聞経済面で紹介されました

20190921中日新聞掲載

豊田佐吉の人生を経済歴史小説に 賃金研究所の北見さん出版
2019/9/21 朝刊

「小説やらまいか豊田佐吉傳」を出版する北見昌朗さん。後方は売り上げを寄付する地図=名古屋市で

「愛知千年企業」シリーズ(中日新聞社刊)などビジネス関連書籍の執筆で知られる北見式賃金研究所(名古屋市)の北見昌朗所長が二十一日、「小説やらまいか 豊田佐吉傳(でん)」の上下巻を出版する。ペンネームを「北路透(きたみちとおる)」として、中部のものづくりの礎となった偉人を題材に、自身初の経済歴史小説に挑んだ。

豊田佐吉(一八六七~一九三〇年)は現在の静岡県湖西市に生まれ、日本初の動力織機を発明。トヨタ自動車現社長の章男氏の曽祖父に当たる。北見さんは百冊以上の関連書籍や地図を収集、分析し、商売上の挫折を経て大事業を起こした佐吉の人生を、フィクションを交えて描いた。機織りの苦労を目の当たりにし、発明の原動力になった母ゑいや、工場の切り盛りに力を発揮した妻浅子ら、家族や周囲の人々も登場する。

事業を中国・上海に展開する際の名言「障子を開けてみよ。外は広いぞ」は、名古屋・錦の料亭での会合で周囲を説得したとされる言葉。名古屋市に多数あるかつての工場や行きつけの料亭の場所を紹介する地図も作り、三洋堂書店で千円で販売する。地図の売り上げは全額、名古屋城天守閣の再建事業に寄付する。

北見さんは、「佐吉翁の人生を後世に伝えるのは、名古屋の経済人の重要な務めだと信じる。これから世に出る高校生くらいの学生さんと、その親御さんに届いてほしい」と話す。書籍は上下巻とも約四百ページで、いずれも税抜き千七百円。

(中野祐紀)