岩田憲明氏(愛知学院大学名誉教授)

元気な名古屋の企業100社岩田憲明先生は、愛知学院大学の名誉教授であられる。多作な方で、北見昌朗の書棚には先生の著書が何冊もある。
『なるほど!元気な名古屋の企業100社』などは、知り合いの会社も多数出ていて、読んでいて楽しい。

その先生が推薦文を書いて下さった。光栄至極。ありがとうございます。

北路透は城山三郎の再来か?

岩田憲明愛知学院大学名誉教授
岩田憲明

「いまさら豊田佐吉か」ともって読み始めたが、「上下二巻を一気に読んでしまった」。

というよりも一気に読ませられた。作者の筆力おそるべし。北路透は城山三郎の再来か? そういえば城山三郎(本名杉浦?)『中京財界史?』を思い出した。豊田佐吉は明治時代に活躍した人だからほぼ同時代の名古屋経済について述べている。それでも本書は圧倒的に面白い。読むのが楽しい。これが本書の第一印象であり、一番の特徴である。

これは作者の明るい性格が反映しているからだろう。それと「小説」だから「トヨタと関係ない」と謳っているからだろう。想像を交えて創作を交えて、臨場感たっぷりに語っている(「おかっちゃ」という湖西弁も出てくる)。作者の筆力のすごさがここに見られる。

本書は史実をしっかり踏まえた小説である。企業小説=史実+創作。史実といえばトヨタ社史がある。トヨタ社史はグループの歴史、系譜を記載しているが、このグループ系譜をより詳細、よりわかりやすく解説しているのが本書である。名古屋の企業間の関係、名古屋の経済人の関係がきれいに整理されておりわかりやすい。

だから本書は経済経営の研究者にとっても参考になる。長年(中部経済新聞記者時代以来)の中部経済研究を踏まえての本だから説得力がある。説得力があるから安心して読み続けられる。小説だから創作部分があるが、説得力がある本だからどこに創作部分があるのか、見つけるのが難しい。

本書を原作としたテレビドラマ、映画、演劇ができればヒットするであろう。