鷲山雄一氏(中小企業診断士)

中小企業診断士の鷲山雄一さんは、掛川のご出身で、大日本報徳社を筆者につないで下さった。その鷲山さんから熱い推薦文を賜った。

佐吉翁は「至誠、勤労、分度、推譲」という報徳の精神

鷲山雄一中小企業診断士、地域金融機関勤務、静岡県出身
鷲山雄一

本書に登場する大日本報徳社の岡田良一郎氏は、静岡県掛川市に日本最古の信用金庫(現・島田掛川信用金庫)と、私塾「冀北学舎」を創設されました。

私は、中小企業支援を通じた地域経済への貢献を使命とする地域金融機関で働く中小企業診断士であり、冀北学舎の流れを受け継ぐ高校の卒業生でもあります。

本書では、名古屋や半田の往事の風景が丁寧に描写され、登場人物が活き活きと動く様子が目の前に現れたかのように読み進むことができました。読後に振り返ると、豊田佐吉翁の生き方が「至誠、勤労、分度、推譲」の報徳の精神を体現していたことに改めて気付きました。

これまで、地域貢献活動を担う精神として「積小為大」や「財徳一円」といった言葉を多用しておりましたが、そうした精神の基本にあるのが、「まごころをもって事にあたる=至誠」にある、と感じた次第です。それは、様々な苦難に遭いながらも、発明・創意工夫に邁進した佐吉翁の生き方そのものです。

欧米を中心に発展した資本主義経済が世界中で富の偏在と様々な分断を招き、そのあり方が問われる時代となった今日、佐吉翁の生き方とその精神が多くの人に読み継がれ、日本経済の未来を創る礎となることを願ってやみません。