平出眞氏(山眞産業社長)

山眞産業の平出眞さんとは、「名古屋城天守閣を木造復元し、旧町名を復活する会」で一緒で、よくお会いする仲。その平出さんが、私の顔を見るなり「読みましたよ」の連発! 興奮気味にばあっと感想を語って下さった。嬉しいではないか…。平出さん、また呑みに行こうね。

「花」が物語の臨場感を高めている

平出眞山眞産業(株)花びら舎 代表取締役
(NPO法人 名城さくらの会専務理事)

私は、花が随所に登場するところが気に入った。何々の候ということで、四季折々を彩る花が出てくる。中でも良いことがあった時は、いつも桜が出てきた。

著者と私は、実は大の名古屋城ファンだ。山高佳雄先生(愛知県立稲沢高校園芸科元教諭)と3人で名古屋城内の花と緑、庭園を見て回ったこともある。本書は、この山高佳雄先生の指導も受けているだけに、季節の花々が見事に描写されていて、それが臨場感を高めている。この花があるかないかで、全然違う。

秀逸なのは、母親の「ゑい」さんを語り部にしているところ。母が語る息子なんて、心を打たれる。その愛情がひしひしと伝わってくる。

喜一郎の母「たみ」さんが登場してくる。「たみ」さんは、著者によれば、豊田家の歴史にはあまり登場して来ない人物だそうだが、その「たみ」さんを登場させたところが良い。我が子喜一郎を愛(いと)おしみ、看護婦になって、その進学費用まで出したくだりは泣けてくる。

著者の本は「織田信長の経営塾」とか「武田家滅亡に学ぶ事業承継」とか一通り読ませて頂いたが、今回の本はこれまでの本と一線を画している。

次作は、森村市左衛門なのだとか。早く読ませて欲しい。